NKT細胞とは、最も最近に発見され
がん細胞に対し強力な攻撃を加える免疫細胞です。
「NKT細胞」とは、1980年代後半に発⾒されました。その後、⽇本を中⼼に研究が進められ、その役割が解明されてきた特殊な免疫細胞のことです。このNKT細胞は⾎液のリンパ球の中にわずかに0.1%も存在しません。
他の⾃然免疫系のNK細胞や獲得免疫系のT細胞などの免疫細胞を司る司令塔、あるいは免疫機能の起爆剤とも⾔える働きがあります。
NKT細胞を⽋損したマウスやヒトは弱い病原体に対しても無⼒で、簡単に死んでしまうというほど⾮常に重要な機能を持つ免疫細胞で、ほかに同じような働きを持つ細胞は現在知られていません。
NKT細胞の特徴は、「⾃然免疫系」と「獲得免疫系」の両⽅の機能を合わせ持っていることです。NKT細胞の名称は、自然免疫をつかさどる「NK細胞」と獲得免疫をつかさどる「T細胞」から「NKT細胞」となっています。
NKT細胞は、⼈の体の中で活性化すると、⼈の免疫機能を改善します。
その作⽤は以下の通りです。
今までがん免疫療法で「NK細胞」や「T細胞」という言葉は耳にされた方も多いと思います。この「NK細胞」や「T細胞」を含む免疫系の司令塔であり、最も勇猛ながん攻撃細胞が「NKT細胞」です。実はこの「NKT細胞」、発見は早かったのですが、存在数があまりに少ないためにほとんど注目されていませんでした。しかし、理化学研究所の研究により、実は驚くほどの実力を持っていることが明らかになってきました。
NKT細胞が発するインターフェロン-γ
1)NKT細胞は体内で⼀度活性化するとIFN-γ(インターフェロンγ)をはじめとしたサイトカイン(⽣理活性物質)を⼤量に産⽣します。それによりNK細胞やT細胞が活性化され、活性化されたNK細胞やT細胞も病原体を攻撃するようになります。
2)活性化したNKT細胞は⻑期免疫記憶を作り出し、作り出された免疫の記憶は⻑期にわたり体内で記憶され、働き続けます。
3)NKT細胞は、特殊な糖脂質でできた抗原とそれを提⽰するCD1-dという抗原提⽰分⼦の複合体を認識して活性化されます。このCD1-dはヒトという種族に⼀種類しか存在しない分⼦のため、これによりNKT細胞の働きは万⼈に効果をもたらします。